外国産アサリの大規模な産地偽装は、「熊本県産アサリ」の復活に力を注いできた若手漁師を直撃した。豪雨被害に伴う海への土砂流入でアサリが死滅する逆境を乗り越えた矢先の事態。手間をかけて味にこだわってきたという漁師の一人は、正直者が馬鹿を見ることがないよう、偽装アサリの根絶を強く求めている。
「長年まじめにやってきたのに」。アサリ漁などを営む熊本県八代市の宮田直樹さん(36)は、偽装による風評被害への懸念から、ため息を漏らした。
自宅から約4キロ先にある干潟約1千平方メートルで育てたアサリを、インターネットなどを通じて主に個人に販売してきた。蒲島郁夫知事が1日、約2カ月間の「県産アサリ」の出荷停止を発表した時、ニュースで産地偽装を知った。
今は出荷シーズンを控え、アサリを育てている時期。3月には5件の出荷の予約があったが、「ブランドを守るためなら」と出荷停止にやむなく応じた。予約はいずれも取りやめになった。
曽祖父から続く漁師の家。中…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル